ミュージカル HEAD'S UP!

こちらは2018年1月に新歌舞伎座で観てきました。
(早速観劇ノートの順番すっ飛ばしてますw)
橋本じゅんさんが出演されてるという事で気合いを入れて先行申し込みした後にアフタートークの登壇者予定が発表になり、自分が申し込んだ日がじゅんさんじゃない!って事でもう1日追加しました(笑)

でもこれ、2回行って大正解。
めちゃくちゃ楽しくて更に追加したいぐらい最高でした。

原案・作詞・演出/ラサール石井さん
脚本/倉持 裕さん(新感線の乱鴬の脚本家の方です)
で、こちらも再演の作品なのですがラサールさんが10年間温めてきた作品なだけあって、倉持さんの脚本力と合わさりとても練り込まれたしっかりした作品でした。


劇場付雑用係役の中川晃教さんが客席から登場し、美しく優しい歌声で我々お客さんを作品の世界へ一気に誘(いざな)い華やかなオープニングとなり、ストーリーは進んでいきます。

《大まかなストーリー》
老朽化により取り壊しが決まった劇場で、1000回を迎えて終了したはずの作品「ドルガンチェの馬」をもう一度だけ上演したい!と言うベテラン俳優の思い付きにより1001回目をやる事になるんですが、主演女優が来ないだのセットが足りないだの、ハプニング続出。
公演を成功させるためにスタッフさんの奮闘が始まる…というお話です。


とにかくこの作品はめちゃくちゃ笑います(笑)
色んなお笑いポイントが随所に散りばめられてあって、客席からも終始笑いが絶えませんでした。
その中でも一番記憶に残ってるのがなんといっても劇中劇の「ドルガンチェの馬」の主題歌。

うまっ うまっ ドルガンチェの馬♪♪
と動きに合わせて王と家来が歌う場面があるのですが、途中、上からスニーカーが落ちてきて、それを見た王が、
くつっ くつっ ドルガンチェの靴♪♪
って歌うんですよね(笑)
その靴はアルバイトの佐野君が仕込みの際、下りてるバトン(ステージ上にある美術セット等を吊るすパイプ)に乗せてしまったのが本番に落ちてしまうんてすが、客席は大爆笑(笑)
しかも落ちてくるハイカットのスニーカーが横に倒れる事もなく、ドン!と上手く着地するので尚更笑えました。

観劇後、しばらくこのメロディーを口ずさむ事になります(笑)


そしてこのミュージカルの特徴と言えるのが楽しいメロディーと気持ちの詰まった歌詞。
台詞もそうですが、この歌詞に様々な想いが込められてるなと感じました。

制作スタッフ役の青木さやかさんを中心に歌われる曲では
“ランチの食費切り詰めて チケット買ってくれる人
がいる(ありがとう)”
“チケットは売れている 約束はできている”
“座ってよあなたの席に 楽しんで身体ごと”

歌の直前の「チケットを売ったという事は約束したという事なんです、良い舞台にしますって」って台詞の後の曲なんですが、高いチケットを買って観に来てくれるお客さんに対する感謝の気持ちと、楽しんで帰って欲しいという想いが観てて伝わってきましたね~。

そして、先ほどのオープニングで中川さんが歌う曲にこそ全てが集約されているんです。

“あなたには見て欲しい 劇場で起きる奇跡
見えるものを支えている 今は見えないものたち

すべては夢 すべてはマジック
すべては嘘 すべてはトリック
劇場で起こること それはすべて魔法
劇場には人生が 劇場には涙が
でも終わればすぐ 忘れられる
劇場で起こる 一夜限りのショー

あなたには知って欲しい 全ての影と光
誰かをそっと支えている 声なきものの愛を”

コーラスさんも入ってくるこの曲、中川さんの語りかけるような優しい歌声に心つかまれて冒頭から泣きそうでした。
この歌詞だけで舞台の楽しさと儚さ、裏方さんへの感謝を感じません?
(感じなければいいですw)

そういった、大枠では感謝の気持ちを描きながら、ストーリーではそれぞれの役柄にドラマがちゃんとあるんですよね。
ある者は成長し、ある者は夢を叶え、ある者は過去の自分と向き合い…
登場人物が上手く交差していて知らないところで繋がってたりするんです。
ストーリーの軸となる劇中劇の「ドルガンチェの馬」の仕込み、本番、バラしまでを描きながら個々の人物の描き方やエピソードの盛り込み方が見事でした。

個人的にじゅんさんのエピード場面で(T-T)
こちらもまたオープニングの歌詞と繋がってるんですよ。
いや~脚本の綿密さが凄い(笑)


しかもお客さんに向けてビックリするような大きな仕掛けが用意されてるんです(ここでは言いませんw)
私は、うわ~~~~(感動)ってなりました。
ラサールさんの粋な演出にずっとやられっぱなし。
観てる人に楽しんでもらおう!という気持ちを死ぬほど受け取りながら時間を全く感じないぐらいあっという間の2時間30分でした。


で、ストーリー最大のネタバレポイントがあって、それが分かった時は、
はっ…え~~~ジーーーン(感動)でした。

先程の曲の歌詞の中に少しヒントがあるんですけど、、、それは実際に劇場で観て欲しい!(笑)
きっとまた再演されると思います。
いや、この作品は再演されるべき!後世に残していくべき!と勝手に思ってます。
それぐらい私の心に刺さりました。

ミュージカルは沢山上演されてますけど、そのほとんどが海外の翻訳もの輸入ものです。
この作品は日本オリジナルミュージカルとしてもっともっと広まって、果ては世界に飛び立つ事を願ってます。

とにかく、
舞台に携わる全ての人への感謝の気持ちとリスペクトで溢れ、とても温かい愛とエネルギーに満ちた素晴らしい作品でした。






以下、余談です


普段舞台を観る時に、裏方さんの仕事を気にしたりします?
いや、観てる時は意識しなくていいんですが、帰り道になんとな~く感じる事はあったりするのかな?なんて。
裏方仕事をかじってた私はそのスタッフワークを勝手に想像して感動してリスペクトしてます(笑)
なのでこのミュージカルはそういう側面からも描かれててより楽しめました。

ステージ上に『リノ』と呼ばれる樹脂製の薄くて長~いシートを実際に仕込み場面として敷いていくところでは、役者さんに混ざって本物のスタッフさんが出てきて手際よく敷いていくんですよ。
雰囲気が全く違うので本物って事にすぐ気付きましたけど、そういう演出も興奮ポイントでしたね。
照明の機材を仕込む場面もありますし、普通のお客さんは普段見る事がない光景なのでどう感じるか分かりませんが、
あ!吊り込んでる!懐かしい~!
ガチ袋や~(美術さんの腰に付けてる道具を入れる為の袋)
とか、仕込む際の光景に小さい事を発見してはいちいち反応して興奮してました(笑)


単純にこの作品が好きすぎて暑苦しいブログに(笑)
(実際に再演されて行ってみたら面白くなかった~って時の責任は取れませんのでよろしくですw)



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